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欲、見栄、実用、虚飾、主張、定番……気がつけば今年20年目のベスパ道

takeuchi1恥ずかしながら、ベスパです。高校1年の夏、バイトで貯めた10万円を頭金に、新車で購入して以来乗りつづけている、言わずと知れたイタリアのド定番スクーターです。以来さまざまなスクーターやオートバイ、それにクルマと乗り継ぎましたが、新車で購入したのもこれが唯一であり、手放すことなく現役で今も走っております。 そりゃ購入当時はイチびってましたよ。初めて所有したバイクにして、ジョグやDJ-1だとハシャぐ同級生とは一線を画し、当時原宿・青山・渋谷あたりを流した日にゃ「オレってば超オシャレじゃん」と勝手に浸っておりました。今もそんな若者を界隈で見るにつけ「甘酸っぱいのぉ」と目を細めている次第であります。 しかし同時に、イタ車ゆえのマイナートラブルに悩まされ、路駐してればエンブレム引っ剥がされたり10円パンチくらったりと悪戯され、オマケに当時の国産7馬力スクーターには余裕でブチ抜かれるという辛酸も何度なめさせられたことか……。 でも若さゆえですかねぇ。マイナートラブルにはバイク屋に入り浸ることでスキルを上げ、悪戯対策には交番付近に停めるというテクを覚え(あ、今やると怒られますよ、もちろん)、非力さはボアアップ、チャンバー、ビッグキャブというお約束エンジンチューンで克服。 かと思えばモッズにハマり、ミラーだライトだとクラッシュバーだとデコトラ化し、新宿のJAMだツバキハウスに夜な夜な繰り出しているかと思えば、今度はバリバリマシン系に開眼。エンジン、足回り、ブレーキとチューンし、トドメはボディの剛性が足らんと鉄パイプ貫通。ヒザ擦ってステップ擦って、エンジン2~3回焼きつかせて、挙句には軽トラに突っ込んで前歯8本折って、それでも直し、乗りつづけてきました。 自分はもちろん、当時の友人、そして歴代の彼女やガールフレンドを数々乗せ、走った距離は3万キロオーバー。20年の割には少ない気もしますが、基本的に都内しか走らず、かつては自動車雑誌の編集部でも働くほどクルマにハマっていたことを考えれば、まぁまぁの距離です。そんな甘酸っぱい思い出をのせて早20年。それがこの写真の姿です。ボディはサビサビ、フレームはガタガタ……もはやボディを磨くことも、マメにメンテするなどあるわけがなく、一方どこに停めておこうが窃盗団も現金買取業者も手を出すことなく、渋谷・原宿に繰り出そうが「オレってば超オシャレかも」なんていう自意識もなくなりました。 何というか解脱しましたね。 故障すれば何が原因なのかもわかり、逆にこうすれば壊れないという乗り方も身につき、これ以上速くしよう、キレイにしよう、カッコよくしようという欲も見栄も消え去りました。よく「エルメスってホントによくできた道具なんだよねぇ」などとのたまい、ラフに使いながらも、どこかでそれがエルメスであるという自意識が捨てられないのとは明らかに違いますし、エイジングというのとも違います。ここまで汚くなりますと、誰も欲しがらないし、誰も興味を持ちません。自分でも乗ってて楽しくなることもありませんし、快適でもありません。が、半径10km以内の移動手段としては過不足はなく、生活を楽にしてくれるホントのアシであり、道具であります。そこらのママチャリなら買って1週間から1か月でアシ化し、記憶にも残らない存在ですが、自分にとってベスパはアシ化させるのに20年かかり、同時に20年も飽きさせずに存在してくれました。50年以上も前に登場し世界中で愛された、もはや説明不要のド定番傑作品とは、それくらいパワーがあるものなのです。改めて凄いです。そしてこれからが、ヨーロッパなどで走り回る、真のベスパ道の始まりだと思っております。30年目指してこれからも乗り続けます。

2005年5月19日 タケウチ |

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